【平成15年4月1日施行】
近年、物流事業を取り巻く新たな動向として、情報技術の進展などによる企業活動や国民生活の多様化に対応して、高度かつ効率的な物流サービスへの要請が高まっている。
このため、トラック事業及び貨物取扱事業という物流を担う2つの事業について、事業者が柔軟な事業展開を可能にするための規制緩和措置を講じ、各々の事業者が有機的に連携して物流サービス全体の多様化・効率化・物流市場の活性化を図ることができるよう、事業法(貨物・取扱両事業)の改正をした。
経済的規制を見直し、規制は「事後チェック型」へ移行する。また、公平な競争条件確保の観点から「事後チェック体制等の強化」を行い、併せて「社会的要請」への的確な対応のため、安全・環境面への対応も行う。
21世紀にふさわしいトラック事業の実現を目指す。
1) 貨物自動車運送事業法
営業区域規制の廃止
運賃・料金の事前届出制の廃止
国土交通大臣による運賃・料金の改善命令の新設
★ 運賃・料金に対する変更命令を事業改善命令に変更
★ 改善命令の対象となる場合 荷主に対し不当な差別的取扱や他の事業者と不当な競争を引き起こす恐れのある場合が対象となる。
※ 【荷主に対し不当な差別的取扱】となる場合の考え方
(1) 大口の相手に対し不当に割り引くケース
(2) 重量・距離に関係なく一律1個○○円としたような運賃
(3) 商品価格の○○%としたような運賃
【他の事業者と不当な競争を引き起こす恐れがある場合】の考え方
(1) 他の事業者を排除する目的があるもの
(2) 同じサービスで、著しく安く、過積載・過労運転など不当な条件での競争が行われる場合
なお、不当に高い運賃の場合も対象になるが、従来の範囲内の運賃・料金の設定・変更については、当分の間、事業の改善命令の発動基準に該当しないものとして取り扱う。
【 改善命令発動基準のフォロー】
地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の権限強化
(トラック協会と協議を進めながら取り組む)
(1) 地方実施機関の組織・運営について、規定の整備を行う。
(2) 公平性・透明性を確保する観点から、地方評議委員会を設置して事業の実施状況について評議・提言を求める。
(3) 法第39条の3(説明、資料の請求)に基づき、調査権限を巡回指導通知書で明確化し、巡回指導の強化を図る。
(4) 地方実施機関の指導員の表彰制度を導入する。
その他の事項
(1) 法第22条の2(輸送の安全阻害行為の禁止)に基づき、利用運送事業者の輸送の安全の確保を阻害する行為の禁止が追加された。
※ 貨物自動車利用運送は、貨物自動車運送事業に規定されることになった。
貨物自動車利用運送とは、貨物事業を経営する者が他の貨物運送事業者の行う運送(自動車を使用して貨物運送するものに限る。)を利用して行う貨物の運送をいう。
この貨物自動車利用運送を行う場合、貨物自動車運送事業法の事業計画変更認可申請が必要。
なお、法施行前に第1種利用運送の許可を取得している者はこの限りではない。
また、現在申請中の者も新法の規定による処分が適用される旨、みなし規定があるので、あらためて申請する必要はない。
(2) 元請事業者の下請事業者に対する輸送の安全阻害行為について、トラック事業者と同様に、重大事故、過積載等の違反について監査を行い処分を行うことになる。
(3) 安全確保命令の発動基準
法第23条に基づき、
1) 累積違反点数が20点を超える事業者で、指導に対し出頭拒否や報告書が未提出などの場合、要請1年以内に輸送の安全確保違反を起こした場合
2) 過去3年以内に安全確保違反を起こした事業者が、安全確保違反で死亡事故、重傷事故を起こした場合
3) 安全確保にかかる違反が、法第22条の2(元請・下請の関係)に該当する場合など社会的影響のある悪質な場合
(4) 監査の種類
1) 特別監査・・第一当事者と推定される死亡事故惹起事業者等
2) 重点監査・・事故・苦情又は法令違反が多い事業者等
3) 呼出監査・・臨店監査ができない場合(各県公安委員会からの通報等)
4) 呼び出し指導
以上の四種類とし、安全確保違反を中心に処分基準を強化する。
また、道路交通法第108条の34に基づく公安委員会の違反通知について、監査・処分が強化される。
主な改正事項
(1)名称の変更・・・貨物利用運送事業法に名称変更
(2)第1種利用運送事業の参入規制を許可制から登録制に変更
(3)貨物利用運送事業の運賃・料金の事前届出制を廃止して、事後届とする。
(4)国土交通大臣による運賃・料金の変更命令の新設
(5)運送取次事業の参入の登録制、運賃・料金の事前届出制などの廃止